何年も動かしていない車を前に、まず何を見ればよいのか分からず戸惑う方は多いはずです。エンジンをかける前に、バッテリーとタイヤという2つの箇所だけ確認すれば、今の状態を落ち着いてつかめます。この記事では、それぞれの見るべきポイントと、業者に相談する目安を紹介します。
バッテリーはまず見るだけにする
長期間動かしていない車では、バッテリーの状態がもっとも気になる箇所です。端子まわりに白い粉のようなものが付着していないか、まず目で確認しましょう。この粉は端子の腐食によって生じるもので、放置すると電気の流れを妨げる原因になります。もう一つ確認したいのが液漏れです。バッテリー本体の下や周囲に、湿った跡やシミがないか見ておきます。液漏れがある場合、内部の劣化がかなり進んでいる可能性が考えられます。あわせて、バッテリー本体に膨らみや変形がないかも見ておくと、状態をより正確に把握できます。
見た目に問題がなさそうでも、長期間放置されたバッテリーは自然放電が進み、電圧がかなり下がっていることがあります。ここで大切なのは、無理に充電したり、エンジンを始動させたりしないことです。劣化したバッテリーに急に電気を流すと、破損や発熱につながる場合があります。見て気になる点があれば、そのままの状態で整備工場やディーラーに相談するのが安心です。バッテリー自体の脱着や交換も、判断や作業は必ず専門店に任せてください。取り外しの際に発生する火花や液漏れは、思わぬけがにつながることもあります。
タイヤの劣化サインを確認する
長期保管車で見落としやすいのが、タイヤの経年劣化です。使用していなくても、ゴムは時間とともに硬化し、ひび割れが進みます。サイドウォール(タイヤの側面)に、細かいひびが入っていないか確認してください。ひびが深い場合や範囲が広い場合は、特に注意が必要です。溝の深さが十分に残っていても、ゴム自体が硬化していれば本来のグリップ力は期待できません。見た目にはひびが目立たなくても、内部でゴムの弾力が失われている場合もあります。
もう一つの確認点が、フラットスポットです。同じ位置で長く荷重を受け続けたタイヤは、その部分だけ平らに変形することがあります。見た目や手触りに違和感があれば、専門店での点検を検討しましょう。タイヤの側面には、製造時期を示す4桁の数字が刻印されています。これは製造週と製造年を表すもので、例えば「2318」であれば2018年の23週目に作られたことを示します。一般に、製造から5年以上経過したタイヤは劣化が進みやすいといわれています。あわせて、空気圧の低下も見ておきたい点です。目視で著しく低いと感じたら、無理に走行せず点検を依頼してください。4本とも同じように劣化しているとは限らず、日当たりや床の状態によって差が出ることもあります。地面に接している部分は湿気の影響を受けやすく、他の面よりも状態が変わりやすい傾向があります。
判断に迷ったときの目安
バッテリーとタイヤ、どちらも見て記録する段階では自分で確認して構いません。ただし、実際に動かす、充電する、交換するといった作業は、素人判断で行わないことが大切です。長期保管車は見た目以上に内部の劣化が進んでいる場合があり、思わぬトラブルにつながることもあります。判断に迷ったら、まず整備工場に電話で相談し、写真を送って状態を伝える方法もあります。近所に馴染みの整備工場がない場合は、車種に詳しいディーラーへ問い合わせるのも一つの方法です。
気になる箇所を写真に残し、整備工場やディーラーに相談する際の資料として使うと、状況を伝えやすくなります。数年単位で放置されていた車ほど、まずは専門家の目で見てもらう安心感を優先しましょう。焦って結論を出さず、確認と相談を重ねながら次の一歩を考えていくことをおすすめします。
バッテリーの端子や液漏れ、タイヤのひびやフラットスポット、製造年を示す4桁の刻印。この2箇所を見るだけでも、車の今の状態はある程度つかめます。無理に動かさず、気になる点は写真に残して業者に相談する。それが長期保管車と向き合う最初の一歩になります。
